東京工芸大学マンガ学科はこの度「マンガ学科・風刺マンガコンテスト2021入賞・入選作展」を企画、
テーマ部門(テーマ:気候変動)と自由部門を設け、東京工芸大学マンガ学科の学生から作品を募集しました。
応募作の中に優れた作品が多かったため、最優秀賞と優秀賞の他に特別賞を作るなど選考の際には嬉しい苦労もありました。
コンテストの総評になりますが、とくに「気候変動」という人類が直面した最大の問題に対して、
学生たちは真摯に向き合い、丁寧にその思いを表現してくれたと感じています。
マンガ学科の学生たちの作品をここに紹介できることを主催側としても大変嬉しく思っております。
じっくりご高覧いただければ幸いです。今回は特別に教員のコメントを添えています。
迫力のある作品。新宿副都心と魚の群れの対比、海面上昇と気温上昇を赤黒い色で表現したことなど的確で良かったです。人間が描かれていないことで逆に怖さを感じました。(よし まさこ)
レベルの高い作画力とキャラクターの可愛らしさにまず惹かれました。生息領域を狭まれ困惑する動物たちがふんわりとした作風で描かれており、それぞれに愛を感じます。愛おしい彼らを守りたい!と思わせる作品に仕上がっていると思います。(夢来鳥ねむ)
氷が溶け出した北極圏に流れ込んできた大量のゴミと楽しげな表情のシロクマ。作者の意図をキャッチするのに少し時間はかかりましたが、人間の罪深さがじわじわと伝わる鋭い風刺マンガです。(チョン・インキョン)
水没してしまった世界というアイデアは決して珍しくありませんが、丁寧な描写が良かったです。建物に芽吹いた小さな植物は観る人に希望を感じさせます。(チョン・インキョン)
本当に困っているシロクマと、まだのんびり構えている日本人との対比がよくできていて、なおかつシロクマのリアルさから、手痛い逆襲があるかも知れないという緊張感も漂っており、ユーモアと怖さが同居しています。(細萱 敦)
両義的なメッセージを受け取りました。ストレートに二酸化炭素過多による暑さに苦しむ地球と、その原因を減らすことによりスリム化を目指すべき地球と人類と、両方を想起させ何度も味わい返させる作品になっていて、巧さを感じます。(細萱 敦)
テーマの「むずかしさ」を安易にわかりやすくせず、絵の中の不均衡という形でしのばせた点を評価しました。顔を見せない人物が、建物に対して不釣り合いに大きなことは、すぐには気づかない「問題」を適示しているかのようです。(伊藤 剛)